カメの卵詰まりの手術(東京の田園調布動物病院の田向健一先生考案のPE法)【大阪府堺市の動物病院】
カメは卵をお腹で詰まらせて状態が悪くなることがあります。
その原因としては
・ストレス(産卵前に飼育環境を変えてしまった、輸送など)
・産卵場所がない
・カルシウム不足
・卵管の感染症
・卵殻の形成異常(異常卵)
などがあります。
PE法.JPG
この写真は卵詰まりの手術で開腹したあと、手術がほぼ完了したあとの写真です。
PE法の特徴として、切断した甲羅を完全には分離していないことに注意してください。
胸筋が蝶番の役割を果たしています。
今までの手術方法であれば甲羅を切断した後、甲羅に付着している筋肉を剥離してから甲羅を完全に分離したあとに腹腔内の手術に入りましたが、PE法では切断した甲羅に筋肉をあえて残しておきます。
このことによって今までの手術方法よりも術後の甲羅の切断面の回復が早くなります。
今までの方法なら術後半年~一年甲羅の回復まで時間がかかっていたのが、この方法なら術後2~4ヶ月で回復します。
切断した甲羅にあえて筋肉を残しておくというのは、骨折の治療の理論から言っても理にかなっており、これからのカメの開腹手術の主な方法となっていくと思われます。
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写真は摘出した卵管、卵、異常卵、卵巣。
かなりの数の異常卵がみられ、卵塞の原因となっていたことが推測されます。
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写真は術後2時間後のカメの様子。術前よりも元気になって動き回っている。
経食道カテーテルによって入院管理をしていきました。
カメは雌のみの単独飼育でも無精卵を生むことに注意が必要です。
また、ペニスがあるからといって(雄だからといって)卵を産まないわけではなく(卵巣をもたないわけではなく)、カメは雄でも卵巣をもつことがあり、注意が必要です。
卵詰まりを治療せずに放置していると状態が悪化していき、腎不全を引き起こしたりして死亡します。
卵詰まりを疑えば、早めに動物病院で相談しましょう。
キキ動物病院
大阪府堺市中区深井北町117-3
072-276-3555