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インコのヒナが大量死・突然死 する感染症〜 BFD
多くの鳥が感染する病気です
オウム目

オウム目ではセキセイインコをはじめ、マコウ(コンゴウインコ属)、コニュア(メキシコインコ属)、オオハナインコは特に感染率が高いと言われています。
スズメ目

その他分類
APVDの特徴とは
主な症状
発症パターンについて
①セキセイインコなどのヒナ
②セキセイインコ以外の成鳥
①セキセイインコなどのヒナ
セキセイインコのAPVDでは、ヒナで発症率が高く、感染したヒナの30~100%が死亡するというデータがあります。特に生後15日齢未満のヒナ(生後数日齢までに感染したヒナ)は、死亡率が著しく高くなります。
②セキセイインコ以外の成鳥
セキセイインコのヒナ以外では、感染した鳥の多くが症状を示さず、ウイルス(APV)を保持し続けます。(不顕性感染)
セキセイインコも、ヒナの時に感染しても症状をださなかった鳥は不顕性感染となり、APVを保持し続けます。
ラブバード(ボタンインコやコザクラインコなど)は1歳以上でも、免疫力が落ちるような状況でAPVDを発症することがしばしばあります。その場合、急速に症状が進行して亡くなってしまいます。
APVに感染したオハナインコ、バタン、カイクー、コニュアの成鳥で、まれに突然死が見られることもあります。
免疫力が落ちる状況とは、
・栄養バランスが悪い
・精神的ストレスや環境的ストレスが多い
・免疫力が落ちる病気をもっている(生殖器疾患、PBFD、痛風、メガバクテリア感染、糖尿病など)
というような状況です。
特殊なAPVDの発症パターンとしてバタンの呼吸器困難があります。
4~8週齢のバタンはAPVDを発症すると重度の呼吸困難、成長不良がみられるようになり、誤嚥性肺炎も併発して亡くなってしまうことが多いです
治療法について
APVDの治療法としては、インターフェロン療法が可能性のある治療法となりますが、発症してからの治療の場合、インターフェロン療法でも救命率が100%となるわけではありません。
APVDは発症が急速に進行して亡くなってしまったり、突然死という形で現れることが多いので、現実的に治療が難しい場合が多いです。
そのためにAPV感染予防が非常に重要となります。
突然死 を予防で減らす方法
APV感染予防に重要なことは、
①隔離
②免疫力強化
です。
①隔離
新しく鳥さんをお迎えしたら、成鳥して健康状態が安定するまでは、他の鳥たちと接触させないことです。
ヒナや幼若鳥はAPVに感染すると、症状を出していなくても多量にウイルス(APV)を排泄している可能性があるからです。
特にセキセイインコやラブバード(ボタンインコやコザクラインコなど)やオカメインコは、APVの保有率が高いので気をつけてください。
②免疫力強化
もう一つ大事なことは、鳥さんの状態が悪いと感じれば、はやめに動物病院に連れていってあげることです。
鳥さんは状態が悪くなれば、どんな病気や状態でも免疫力が下がってしまいます。もし鳥さんがAPVを持っていれば、免疫力が落ちたとたんに状態が悪化して、亡くなってしまうということもあるのです。
特にラブバード(コザクラインコやボタンインコなど)は、免疫力の低下でAPVDがしばしば発症してしまうので要注意です。
突然死 を防いで、より良い鳥ライフを!
今回は、普段鳥を診察している獣医師でも混乱していることも多い、セキセイインコのヒナ病についてまとめてみました。
少しマニアックな知識となりますが、鳥さんと一緒に生活するうえで知っておいても損はない情報だと思います。
鳥さんのQOLが高められるように、今回の内容を活かしてくれればうれしいです。
キキ動物病院
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大阪府堺市中区深井北町117‐3