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インコ の 突然死 を減らす方法 :BFD/APVD【大阪 堺 小鳥の病院】

突然死 を減らす方法〜BFD/APVD〜 

 

インコのヒナが大量死・突然死 する感染症〜 BFD

こんにちは。大阪府堺市の小鳥の病院、キキ動物病院です。
 
みなさんは、通称セキセイインコのヒナ病(BFD)と呼ばれている感染症はご存知でしょうか。
 
セキセイインコの繁殖場では、ヒナが大量死することで問題とされていますが、一般にはあまり知られていないかもしれません。
 
このBFDを引き起こす原因菌は、鳥ポリオーマウイルス(Avian Polyoma Virus:APV)といいます。
BFDはAPVが引き起こす感染症ということで、APVD(Avian Polyoma Virus Disease)とも呼ばれています。
 
今回はこの、鳥ポリオーマウイルス感染症(APVD)について、解説していきます。
 

 

多くの鳥が感染する病気です

APVDは、セキセイインコのヒナ病として知られているので、セキセイインコの病気として認知されていますが、APVはセキセイインコだけでなく、いろんな鳥が感染します。
 
主にオウム目に感染しますが、スズメ目の鳥にも感染が確認されています。
 

オウム目



オウム目ではセキセイインコをはじめ、マコウ(コンゴウインコ属)、コニュア(メキシコインコ属)、オオハナインコは特に感染率が高いと言われています。
 
ラブバード(ボタンインコ属、コザクラインコなど)、ワカケホンセイインコ、ローリー(ヒインコ科)でも感染率が高いことが確認されています。
 
オカメインコ、バタン(バタン属)、アマゾン(ボウシインコ属)、ヒオウギインコ、カイクー(シロハラインコ属)も感染することが確認されています。
 

スズメ目



スズメ目では、ギンパラ、セイキチョウ、アオカワラヒワ、コキンチョウ、コマチスズメ、アカクロタネワリキンパラ、クロガオアオハシキンパラ、イエスズメの感染が確認されています。
 
スズメ目の中では特にコキンチョウのリスクが高いとされています。
 

その他分類

スズメ目以外にも、ノスリ、ハヤブサ、キムネチュウハシ、ワライカワセミ、ムラサキエボシドリ、ニワトリからAPVは検出されています。
 
 

APVDの特徴とは

このAPVDが問題とされるのは、流行した繁殖場ではヒナの死亡率が100%となるほどに感染力と毒性が強いところです。APVと接触すると、ほぼ100%の鳥が感染すると考えられています。
 
(感染したからといって、100%症状を出すわけではないことに注意してください。感染と発症はイコールではないことを理解したうえで、以降の記事を読んでください。)
 
 
 

主な症状

APVDを発症すれば、状況によりさまざまな症状を発症しますが、主に出血傾向肝不全と理解してください。
 
出血傾向は羽の異常、皮下出血などとしてみられます。
 
肝不全は羽の異常、肝肥大、腹水、浮腫などとして見られます。
 
 
 

発症パターンについて

APVDの発症パターンでは主に、

①セキセイインコなどのヒナ
②セキセイインコ以外の成鳥
 
の発症パターンに分かれます。
 
 

①セキセイインコなどのヒナ

セキセイインコのAPVDでは、ヒナで発症率が高く、感染したヒナの30~100%が死亡するというデータがあります。特に生後15日齢未満のヒナ(生後数日齢までに感染したヒナ)は、死亡率が著しく高くなります。

 

②セキセイインコ以外の成鳥

セキセイインコのヒナ以外では、感染した鳥の多くが症状を示さず、ウイルス(APV)を保持し続けます。(不顕性感染)

セキセイインコも、ヒナの時に感染しても症状をださなかった鳥は不顕性感染となり、APVを保持し続けます。

ラブバード(ボタンインコやコザクラインコなど)は1歳以上でも、免疫力が落ちるような状況でAPVDを発症することがしばしばあります。その場合、急速に症状が進行して亡くなってしまいます。

APVに感染したオハナインコ、バタン、カイクー、コニュアの成鳥で、まれに突然死が見られることもあります。

免疫力が落ちる状況とは、
・栄養バランスが悪い
・精神的ストレスや環境的ストレスが多い
・免疫力が落ちる病気をもっている(生殖器疾患、PBFD、痛風、メガバクテリア感染、糖尿病など)
というような状況です。

特殊なAPVDの発症パターンとしてバタンの呼吸器困難があります。
4~8週齢のバタンはAPVDを発症すると重度の呼吸困難、成長不良がみられるようになり、誤嚥性肺炎も併発して亡くなってしまうことが多いです

 

治療法について

APVDの治療法としては、インターフェロン療法が可能性のある治療法となりますが、発症してからの治療の場合、インターフェロン療法でも救命率が100%となるわけではありません。

APVDは発症が急速に進行して亡くなってしまったり、突然死という形で現れることが多いので、現実的に治療が難しい場合が多いです。

そのためにAPV感染予防が非常に重要となります。

 

突然死 を予防で減らす方法

APV感染予防に重要なことは、

①隔離
②免疫力強化

です。

 

①隔離



新しく鳥さんをお迎えしたら、成鳥して健康状態が安定するまでは、他の鳥たちと接触させないことです。

ヒナや幼若鳥はAPVに感染すると、症状を出していなくても多量にウイルス(APV)を排泄している可能性があるからです。

特にセキセイインコやラブバード(ボタンインコやコザクラインコなど)やオカメインコは、APVの保有率が高いので気をつけてください。

 

②免疫力強化



もう一つ大事なことは、鳥さんの状態が悪いと感じれば、はやめに動物病院に連れていってあげることです。

鳥さんは状態が悪くなれば、どんな病気や状態でも免疫力が下がってしまいます。もし鳥さんがAPVを持っていれば、免疫力が落ちたとたんに状態が悪化して、亡くなってしまうということもあるのです。

特にラブバード(コザクラインコやボタンインコなど)は、免疫力の低下でAPVDがしばしば発症してしまうので要注意です。

 

突然死 を防いで、より良い鳥ライフを!

今回は、普段鳥を診察している獣医師でも混乱していることも多い、セキセイインコのヒナ病についてまとめてみました。

少しマニアックな知識となりますが、鳥さんと一緒に生活するうえで知っておいても損はない情報だと思います。

鳥さんのQOLが高められるように、今回の内容を活かしてくれればうれしいです。

キキ動物病院
072‐276‐3555
大阪府堺市中区深井北町117‐3

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