鳥 病院 大阪【専門家が解説するマクロラブダス感染症(メガバクテリア症・AGY症)の知られざる恐怖】
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鳥 を飼ったらまず健診!そのワケを小鳥の病院が解説!
こんにちは。大阪府堺市のキキ動物病院です。
日本の鳥さん、特に小鳥さんを中心に高い保有率があるマクロラブダス感染症をご存知でしょうか。
一昔前はメガバクテリアとかAGYとか言われていた感染症ですが、マクロラブダス感染症という名前でも呼ばれるようになりました。
このマクロラブダス感染症ですが、小鳥の治療現場では大問題となっています。それは、このAGYが感染率が高く、死亡率も高いからです。
今回はこのマクロラブダス感染症について、解説したいと思います。
臨床獣医師にも認知度が低い感染症?!
マクロラブダス感染症は鳥類臨床家の間では広く知られていますが、一般的に獣医師にも認知度がかなり低いのが現状です。
そのため、マクロラブダス感染症をそのう炎と誤診されて良くならない、悪化する、といったケースが後をたちません。
(そもそも、そのう炎はほとんどが口内炎から続発して発生し、原因もAGY感染ではなく、口内炎の原因と同じであることがほとんどです。
原因の特定が間違っていれば、当然治療はうまくいくはずがないのです)
マクロラブダスを疑う症状としては胃炎と消化不良が大きな特徴となります。
胃炎の症状としては
・吐き気
・嘔吐
・食欲不振
・腹痛行動
(沈うつ、膨羽、股を開きお尻を上げる、腹部を蹴るなど)
などがあります。
胃炎が深刻な場合には
・胃潰瘍
・胃出血
・胃穿孔
・黒色便
が起きます。
黒色便は胃出血が起こった場合に見られます。
慢性のマクロラブダス症の場合は消化不良が問題となってきます。慢性に胃炎が起こった結果、胃の消化機能が低下してしまうわけです。
その結果
・未消化粒便
・下痢
・削痩(さくそう。やせてしまうこと)
がおこってきます。
こういった消化不良の状態になると、一見食欲があっていつも以上に食べているけど痩せてくるという現象が起こってきます。
このように慢性のマクロラブダス症では食べても食べても痩せてしまうことから、昔はこの病気はGoing Lightと呼ばれていました。
全身症状として、急性には脱水、沈うつ、傾眠などの一般的な
病鳥徴候がみられることが多いです。
急性症状はわかりやすいのですが、慢性症状は一見、わかりやすい症状がでていないことも多く、逆に元気食欲が過剰となることがあるので、飼い主さんが気づいて来院するのが遅くなりがちです。
その結果、重症化した状態からの治療となることも多く、治療が大変になってしまうこともあります。
重症化したマクロラブダス症では以下の5つについて要注意です。
①薬剤耐性菌
重症化したマクロラブダスではあらゆる薬が効かないこともあります。
特に転院を繰り返している症例ではいろんな薬剤に対して耐性ができてしまっている場合があります。
②不可逆的な胃障害
胃障害が進行して胃が拡張して元に戻らなくなってしまうことがあります。
そうすると、治療が成功しても、胃の消化機能が元に戻らず、食べても痩せる状態が続いてしまうことがあります。
③急性胃出血
胃障害が進行して血管が豊富な胃があれているので、突発性の胃出血や胃穿孔によって急死することがあります。
④潜伏・再発
体内にAGYをもっていても便中にAGYがでてこない場合があり、治療を中断したら、再びAGYが便中にでてきたり、症状が進行することがあります。
⑤胃癌の誘発
マクロラブダス症は治ってものちに胃癌を誘発する可能性があります。
残念ながら、お家に迎えてすぐの状態で元気に見えてもマクロラブダスをもっていることも多いです。
鳥さん、特にセキセイインコやオカメインコ、コザクラインコ、ボタンインコ、キンカチョウ、マメルリハインコ、カナリアなどの小鳥は要注意です。
鳥 を飼ったら、まず感染症を持っていないかチェックを!
鳥さんをお家に迎えたら、まずは鳥の診察に精通している動物病院に
つれていってあげてください。
発症する前にマクロラブダスを発見して治療することは非常に重要です。
生涯医療費を抑える上でも非常に重要なポイントとなる部分なので、鳥さんをお迎えしたら忘れずに健康診断に連れて行ってあげてください。
キキ動物病院
072‐276‐3555
大阪府堺市中区深井北町117‐3