インコ の病院【痛風】大阪堺の統合医療動物病院
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小鳥の病院が、インコの痛風について解説します
こんにちは。インコの病院キキ動物病院です。
みなさんは痛風という病気をご存知でしょうか。名前くらいは聞いたことがあるという方も多いと思います。
ヒトもかかるこの痛風、実は鳥さんもかかるのです。
実際、小鳥の臨床場面では頻繁にであう病気の一つです。今回はこのインコの痛風について解説していきます。
インコ の痛風の原因
痛風に関して、現在でもわかっていないことが多いのですが、血中に尿酸が多くなる高尿酸血症が原因とされています。
ヒトと鳥の痛風では、現在想定されている原因は違うのですが、ざっくりというと、ヒトは遺伝的な要因が大きく、鳥は腎不全が原因となっていることが
多いと言われています。
現状では、インコ の痛風は腎不全とほぼ同じ状態と思ってもらうと理解しやすいと思います。
(厳密には違いますが、一般飼い主さんはそこまでの専門知識はなくても大丈夫です)
インコ の痛風の種類
インコ の痛風は大きく分けて2種類に分かれます。
内臓痛風と関節痛風です。
インコ の内臓痛風は生前診断が難しく、ほとんどは死後解剖で発見されます。
内臓痛風はどの鳥類にも見られます。内臓痛風は急性に症状が現れてますが、ほとんどの場合突然死という形で現れます。
内臓痛風は急性腎不全のときにおこることが多いです。特に幼若齢の痛風による突然死は中毒や感染症による急性腎不全が原因のことがほとんどです。
対応する余裕があり、実際に遭遇することも多いのが関節痛風の方なので、今回はインコの関節痛風をメインに解説していきます。
インコ の関節痛風
関節痛風は日本ではセキセイインコに非常に多くみられます。ときおりオカメインコやラブバードにも見られます。
不思議なのですが、関節痛風は国や地域によって発生率が異なっています。
オーストラリアやカリフォルニアでは日本と同じくセキセイインコに関節痛風が多く見られますが、アメリカの他の地域やカナダではそれほどセキセイインコの関節痛風は見られないと言います。
日本においても、地域差がある可能性はありますが、大阪府堺市(キキ動物病院周辺)や関西においては、やはりセキセイインコの関節痛風発生率は非常に高いです。
関節痛風の症状について
関節痛風の初期には
・脚の挙上
・跛行
・足の指が曲げにくそう
・握力低下
・運動量の減少
・止まり木から落ちる
・止まり木をつかみたがらない
などの症状が見られます。
ですが、食欲には問題がないことが多く、外見にも変化が見られないことが多いです。この時点で痛風を見逃されて治療開始が遅れてしまうことも多いです。
インコ の痛風が進行するとクリーム色をした特有の真珠様の結節(痛風結節)が足の指や足の関節周囲に多発します。関節の可動域が減少するので、動きにくくなり、ゼンマイ仕掛けのロボットのような歩き方となります。
これくらいまで進行してしまうと、インコの食欲は低下してやせ細ってしまい、痛みから膨羽し、嗜眠状態(しみん。眠りがち)となることが多いです。
インコ の関節痛風の発生状況ですが、セキセイインコの関節痛風は、10歳以上の高齢鳥でよく見られます。また、尿酸は低温で析出しやすいので、冬に発症したり、悪化することが多いです。
そして痛風はタンパク質の過剰摂取で罹患率が高まり、悪化もします。
インコ の痛風・まとめ
インコ の痛風の予防・看護で大切なことをまとめると
・保温(低温に気を付ける)
・タンパク質制限食
・水分摂取量に気を付ける(腎不全悪化を防ぐ)
・有酸素運動(腎不全悪化を防ぐ)
腎不全のときの運動の効果については以前のブログを参考にしてください。
インコ の痛風は慢性疾患ですが、看病してあげれば穏やかに一緒に生活することは可能です。
主治医との連携をしっかりとることも重要です。全国にある小鳥の病院は愛らしいインコたちとの生活を陰ながら支えたいと思っています。
インコ たちのためにもどうか主治医となんでも相談できる関係をつくってくださいね。
キキ動物病院
072‐276‐3555
大阪府堺市中区深井北町117‐3