うさぎ の難病はキキ動物病院に相談ください。

うさぎの皮膚のできもの(しこり)は何の 腫瘍 ?【大阪のうさぎ病院】

うさぎの皮膚のできもの(しこり)は何の 腫瘍 ?【大阪のうさぎ病院】

うさぎ 専門治療の病院による、皮膚のできもの(しこり)についてのまとめ

こんにちは。大阪府堺市のうさぎ病院、キキ動物病院です。

うさぎの体表にできものやしこりを発見した場合、その正体がまったくわからないと、不安になりますよね。

どんなできもの(しこり)なんだろう?もし悪い癌だったらどうしよう。元気で食欲もあるけど、早めに動物病院につれていった方がいいのかな?

正体が予想できたとしても、家でしてあげられることは多くはないかもしれません。ですが、まったく予想がつかないよりも、漠然とでも予想できた方が、得体のわからない怖さからは解放されます。正体がわからなければ、どうしてあげるのがいいのか、判断が難しくもなります。正体が予想できれば、対応策もみつけやすくなります。

今回は、うさぎさんの皮膚のできもの(しこり)や、腫瘍で見かけることが多いものを、6パターンにわけて解説します。このブログを読むことで、うさぎさんの皮膚のできものをみたときの、正体がわからない恐怖から解放されます。そして今回の分類で、体表の できもの(しこり)のほとんどは問題なく分類できます。(まれな例外はあります)

 

うさぎ さんの皮膚のできもの(しこり)6パターン

① 膿瘍

うさぎさんの皮膚にできる、 できもの(しこり)の大部分がこの膿瘍です。膿瘍は全身の皮膚に発生しますが、顔面周囲に非常によく発生します。(顔面以外の膿瘍は多くはなく、ほとんどは顔面周囲に発生すると理解してください)

膿瘍は表在性膿瘍と深在性膿瘍に分類されます。表在性膿瘍は字の表す通り、表層に発生します。深在性膿瘍は組織の深部に形成されます。表在性は外科処置で完治することがほとんどですが、深在性膿瘍はほとんどの場合、一般的な治療では再発します。

表在性膿瘍では、できものを持つと動かすことができ、できものの輪郭が皮膚を通して感知できます。それに対し、深在性膿瘍では、できものは深部に固定されていて、動かすことはできずに、輪郭ははっきりと感知できません。

初期には元気食欲がありますが、治療をせずに放置すると、菌血症から肝炎や腎炎に進行します。そして食欲不振や衰弱がみられるようになります。

顔の、特に口回り、顎と頬と目の下のできものは膿瘍を強く疑ってください

 

② 乳腺腫瘍

うさぎさんの乳腺腫瘍はお腹側の乳腺にできるので、発見して分類しやすい できもの(しこり)です。(ただし、若齢のうさぎさんの乳腺では発情や偽妊娠によって乳腺過形成がよく起こりますが、これは乳腺腫瘍ではありません。ほとんどは発情とともに治まります。)

基本的には、うさぎさんの乳腺腫瘍は雌♀に発生します。(かなりまれに雄♂にも乳腺腫瘍が発生すると言われています)

うさぎさんの乳腺腫瘍では通常、疼痛(痛み)はありません。転移や傷がなければ元気食欲は正常です。悪性の乳腺腫瘍であった場合は、未治療では一年以内に転移することが多いです。

うさぎさんの乳腺癌は大きくなるスピードは遅いが、自壊するまで大きくなることが多いです。そして、うさぎさんの乳腺癌は肝臓や肺、付属のリンパ節に転移しやすい性質があります。

乳腺腫瘍を発症するうさぎさんは12ヵ月齢までに避妊手術を終わらせていないことがほとんどです。犬猫と同様、うさぎさんの乳腺腫瘍の予防に早期の避妊手術は有効です

うさぎさんの乳腺腫瘍の一般的な治療では乳腺腫瘍の摘出だけでなく、避妊手術も同時に行います。このとき、乳腺腫瘍を発生したうさぎさんの子宮では、何らかの病気が見られることがほとんどです(子宮腺癌など)。

 

③ 精巣腫瘍

精巣が腫大していることで気づくことができます。精巣が大きくなっても排尿障害は生じません。精巣腫瘍は高齢のうさぎさんに好発します。うさぎさんの精巣腫瘍は片側性のことが多いです。反対側の精巣は萎縮していることもよく経験します。

一般的に疼痛(痛み)はなく、元気食欲もあることが多いです。しかし、放置していると、湿性皮膚炎を引き起こすことも多く、手術適応となることが多いです。

 

④ 陰嚢ヘルニア

陰嚢が大きくなっていることで気づきます。うさぎさんの陰嚢ヘルニアは、内部に膀胱が入っていることが多いです。そのため、排尿障害や膀胱内スラッジ貯留(砂粒症)、膀胱炎を併発します。(レントゲンで確認できることが多いので、レントゲンは必ずとってもらってください)

治療としては陰嚢切開して膀胱を腹腔内にもどす手術です。さらに去勢手術をして再発を防ぎます。

 

⑤ ウサギ梅毒(トレポネーマ症)

ウサギ梅毒は生殖器スピロヘータ、トレポネーマ症とも呼ばれます。Treponema paraluis-cuniculi の感染によって発症します。

ウサギ梅毒の症状としては、紅斑・腫脹・痂疲(鼻孔、口唇、眼瞼、陰部、肛門周辺)、鼻汁、くしゃみ、流涙、眼脂(目やに)、排尿障害 などがあります。

ウサギ梅毒では痂疲が鼻孔、口唇、眼瞼、陰部、肛門周辺にできますが、このときに痂疲が厚くなって できもの のように見えることがあります。まれに目のふちにも痂疲の できもの ができることがあります。

雌♀のうさぎさんでは子宮内膜炎を引き起こし、流産や不妊の原因になることもあります。

また、ウサギ梅毒は感染しても発症しないことも多いです。発症要因としては不適切な飼育環境やストレスによる免疫抑制があります。

以前のブログ『くしゃみ やスナッフルは歯の不正咬合が原因?』にも、ウサギ梅毒のことを解説しているので、参考にしてください。

くしゃみ やスナッフルは歯の不正咬合が原因?【大阪 堺 の うさぎ 病院】

 

⑥ その他 体表 腫瘍

その他は良性の できもの(しこり)が多いですが、例外的に悪性の腫瘍もできます。疼痛(痛み)はなく、元気食欲もあることが多いです。

ただし、悪性の腫瘍なら無治療で放置していると、転移や自壊してくることもあるので、無治療で様子を見ることが最良の選択肢とは限りません

良性の体表腫瘍として、脂肪腫、毛芽腫、毛包嚢胞などがあります。悪性の体表腫瘍として、扁平上皮癌、骨肉腫、メラノーマ、皮膚型リンパ腫などがあります。

 

まとめ

腫瘍 うさぎ

今回は、うさぎさんの皮膚にできもの(しこり)を発見したときに、参考にできる情報として、発生頻度の高い できもの をまとめてみました。今回の内容を非常にざっくりとですが、参考にしやすくするためにさらにまとめると、

・鼻孔、口唇、眼瞼、陰部、肛門周辺 にできる痂疲(できもの)はウサギ梅毒
・口回り、顎と頬と目の下が腫れている(できもの・しこり)は膿瘍
・4歳以上の雌♀のうさぎさんのお腹にできた 腫瘍(できもの・しこり)は乳腺腫瘍
・陰嚢が大きくなっているなら精巣腫瘍か陰嚢ヘルニア
・それ以外

このことを知っているだけで、正体のわからないものを発見した怖さは、やわらぐのではないかと思います。また、ある程度の知識がある方が、動物病院の獣医師にも説明がしやすくなるのではないかと思います。

腫瘍 うさぎ

うさぎさんの皮膚に できもの(しこり)を発見したときは、今回の内容を参考にしてくださいね。

うさぎさんの腫瘍や癌の治療は選択肢が非常に少ない状況が続いていました。ですが、最新治療によってうさぎさんの腫瘍や癌にも、かなり治療選択肢が増えました。治療成績も飛躍的に向上しました。

詳細はご来院時におたずねください。

 

 

大阪府堺市うさぎ病院
キキ動物病院
072-276-3555
大阪府堺市中区深井北町117‐3

うさぎ専門治療のキキ動物病院による、うさぎの治療実績レポート、病気の解説記事はこちら。

 

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