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亀 の卵詰まり 症状と対処法や手術(産卵失敗,動かない,食欲不振,食べない,後ろ足を引きずる【大阪堺 爬虫類 亀の病院】

亀 の卵詰まり 症状と対処法や手術(産卵失敗,動かない,食欲不振,食べない,後ろ足を引きずる【大阪堺 爬虫類 亀の病院】

 

亀 と爬虫類の専門治療病院による、卵詰まりについての解説記事です

こんにちは。大阪堺の爬虫類 亀の病院、キキ動物病院です。

亀の卵詰まりは、毎年10%ほどの個体で発生するというデータもあるほど、キキ動物病院では頻繁に診察する病気です。

亀の卵詰まりでは、どういった症状をひきおこすのかということは、実際に卵が詰まってから知るということが多いのではないでしょうか。

同様に、亀の卵が詰まる前に対処法を知っているということは、多くはないのではないでしょうか。

今回は、亀の卵詰まりの症状と対処法と、手術について解説します。

 

 

亀の卵詰まり の症状(産卵失敗,動かない,食欲不振,食べない,後ろ足を引きずる など

亀の卵詰まりの症状としては、食欲不振、脱水、産卵行動、活動性の亢進、活動性の低下、いきみ、総排泄腔脱、卵管脱、体重減少、後躯麻痺(後肢麻痺)、嗜眠などがあります。

ただし、一見症状が見られない場合もあるので、この場合は動物病院で検査してもらうしか卵詰まりは発見できません。

正常な発情でも食欲は低下しますが、食欲が極端に低下することはほとんどありません。正常では食欲が低下するとしても産卵直前の数日だけのことが多いです。極端に食欲が落ちている場合は正常ではなく、卵詰まりのことも多いです。

春から初夏(4月~7月)によく食べていた亀が食欲がなくなってきたり、元気がなくなってきたら卵詰まりの可能性があります。

特に、6月~7月に食欲や元気が低下してくるのを、軽度の熱中症と勘違いして無治療で放置されてしまうケースが目立ちます。要注意です。

後肢で土を掘るようなしぐさを数日したあと、ぐったりして動かなくなったり食欲がなくなったりします。

状態が悪化すると一日中目を閉じたままじっとしていたり、口から泡を出すこともあります。

腹腔内にたくさんの卵を持っている場合は、卵によって周囲の神経が圧迫されて神経を傷害し、後肢の動きが悪くなることがあります。

また、卵によって周囲の臓器を圧迫して閉塞してしまい、便や尿が出にくくなったり、腎不全をひきおこしたりすることもあります。

卵が総排泄腔で詰まった場合、亀は激しくいきみますが、この状態が長く続くと体力がなくなってぐったりしたり、卵によって総排泄腔がふさがれて排便や排尿ができなくなることもあります。

卵詰まりを無治療で放置すると、腎不全を引き起こしたりして死に至ります。

卵詰まりの発見が遅れて、腎不全や重度の低カルシウム血症を引き起こしている場合も、たとえ卵をとりだせたとしても体力が回復せずに亡くなってしまうことがあります。

亀の卵詰まり の注意点(無精卵も詰まる)

一度産卵が終わったからといって安心してはいけない

亀は間隔をあけて何度かにわけて産卵する子もいるので、一度産卵が終わったからと言って、しばらく卵詰まりは大丈夫と安心してはいけない。

雌♀亀の単独飼育でも卵詰まりを起こす

雄♂亀を同居させていなくても、雌♀亀単独で無精卵を形成し、無精卵が詰まることがあります。

雌♀だけで飼育しているからといって、卵詰まりを起こさないわけではないです。

亀 の卵詰まりの対処法

亀に卵詰まりの疑いがあれば、亀が診察できる動物病院につれていってあげてください。そこで卵詰まりをおこしているのかどうかを診断してもらってください。

動物病院ではレントゲン検査、血液検査、エコー検査などで総合的に判断します。

そして、卵詰まり・卵胞うっ滞の診断がつけば、カルシウム剤を打ってもらうのですが、このときにオキシトシンも投与してもらえば産卵率があがります。亀は他の爬虫類に比べてオキシトシンに反応して産卵する確率が高いです。

そして、飼育環境を見直します。具体的には卵詰まりの亀に最適な温度や湿度で管理して適切な産卵場を用意します。

リクガメでは特に温浴(35℃の温水で15分程度)などを行うことによって、水和状態を維持することも重要です。

同居の動物が産卵を邪魔しているようなら、その動物を別の部屋に移してストレスに配慮することも重要です。そうすることによって産卵してくれることもあります。

半水棲亀(ミシシッピニオイガメ、カブトニオイガメ、ミシシッピアカミミガメ、クサガメ、イシガメ、ヒジリガメ、モンキヨコクビガメなど)・水棲亀(すっぽん、スッポンモドキ、マタマタなど)の産卵場

ポイントは次の2点です。

・水場の広さ。半水棲亀や水棲亀は水場が狭いと卵詰まりを起こしやすいです

・陸場の広さ。土は適度に湿らせて耕しておく(土を柔らかくしておく。ただし、柔らかすぎても産卵してくれなくなる)

陸棲亀(セマルハコガメ・ミツユビハコガメなど)・完全陸棲亀(ケヅメリクガメ・ヨツユビリクガメ、ホシガメ、ゾウガメ、ヒョウモンガメなど)の産卵場

ポイントは、広くて深めの場所を用意することです。陸棲亀と完全陸棲亀は産卵時に深い穴を掘るからです。

特にケヅメリクガメやヒョウモンガメ、ゾウガメなどの大型種は広い庭がなければ専用の産卵場が必要となることが多いです。

土が固すぎても柔らかすぎても産卵してくれないので、適度に柔らかくすることも大事です。

(参考:亀の種類について)

半水棲亀

ミシシッピアカミミガメ、キバラガメ、ヤキクジャクガメ、グァテマラクジャクガメ、セイブニシキガメ、フチドリニシキガメ、セスジニシキガメ、キマダラチズガメ、クロコブチズガメ、リオグランデクーター、ペニンスラクーター、ドミニカスライダー、ニシキダイヤモンドガメ、キボシイシガメ、ブチイシガメ、リブラータイシガメ、ニホンイシガメ、ミナミイシガメ、ホオスジイシガメ、ムツイタガメ、ブランディングガメ、ヨーロッパヌマガメ、クサガメ、ヒジリガメ、アッサムセタカガメ、オオセタカガメ、シェンシーハコガメ、マレーハコガメ、ハラスジヤマガメ、ノコヘリマルガメ、ハナナガドロガメ、アラモスドロガメ、ミスジドロガメ、キタシロクチドロガメ、トウブドロガメ、カブトニオイガメ、ヒメニオイガメ、スジオオニオイガメ、ビルマオオアタマガメ、オオアタマガメ、ポーグリーオオアタマガメ、ズアカヒラタヘビクビガメ、トゲモモヘビクビガメ、オーストラリアナガクビガメ、コウホソナガクビガメ、クロハラヘビクビガメ、アマゾンカエルガメ、ニューギニアカブトガメ、コシヒロカエルガメ、ヒラリーカエルガメ、ジェフロアカエルガメ、パプアカブトガメ、アフリカウスグロハコヨコクビガメ、トゥルカナハコヨコクビガメ、ヌマヨコクビガメ、モンキヨコクビガメ、ノコヘリハコヨコクビガメ、ニシキマゲクビガメ

水棲亀

スッポンモドキ、トゲスッポン、レイテスッポン、フロリダスッポン、キタインドハコスッポン、スッポン、インドシナオオスッポン、ボルネオカワガメ、マタマタ、ワニガメ

陸棲亀

モエギハコガメ、ヒラセガメ、セマルハコガメ、マコードハコガメ、ミツユビハコガメ、ミスジハコガメ、キタニシキハコガメ、コガネハコガメ、アシポチヤマガメ、オオヤマガメ、クロヤマガメ、トゲヤマガメ

完全陸棲亀

インドホシガメ、ビルマホシガメ、チャコリクガメ、ケヅメリクガメ、ギリシャリクガメ、ヘルマンリクガメ、フチゾリリクガメ、ヨツユビリクガメ(ホルスフィールド)、パンケーキリクガメ、セレベスリクガメ、エロンガータリクガメ、アルダブラゾウガメ、テキサスゴファーガメ、ソリガメ、ベルセオレガメ、ホームセオレガメ、エミスムツアシガメ、インプレッサムツアシガメ

亀の卵詰まりの手術について(手術時撮影写真あり)

大阪堺市、爬虫類と亀の病院のキキ動物病院による、亀の卵詰まりの手術時の写真。

この写真は卵詰まりの手術で開腹したあと、手術がほぼ完了したあとの写真です。

亀の卵詰まりの手術は少しずつ改良されてきています。改良するたびに手術成績は向上してきています

大阪堺市、爬虫類と亀の病院のキキ動物病院による、亀の卵詰まりの手術時の写真。摘出した卵。

この写真は摘出した卵管、卵、異常卵、卵巣。
かなりの数の異常卵がみられ、卵塞の原因となっていたことが推測されます。

産卵するための環境を整えても産卵してくれない場合は、外科手術が必要になります。

亀の卵詰まりの手術は、どれだけ体力が残っているかによって、大きく結果が異なります。産卵してくれればベストですが、産卵を待ちすぎると体力が落ちて、外科手術の成功率が落ちます。

この匙加減は生死を分けます。動物病院の獣医師と、よく相談して方針を決定してください。

経験上は、環境を整えても手術が必要なケースも多く、早期の手術は成功率が高いです。特に亀が初産の場合は、手術が必要なケースが多いです。

また、キキ動物病院では標準医学に加えて、最新の治療を併用ることでさらに手術の成功率があがりました

亀の卵詰まりの原因

産卵するための適切な環境(産卵場、温度、湿度、外敵がいない、など)がないと、産卵場所を見つけられなかったり、産卵するタイミングを失って卵詰まりを引き起こします。

産卵直前に亀に大きなストレスが加わった場合、産卵できずに卵詰まりを引き起こすこともあります。

産卵直前の大きなストレスの例として、飼育環境を変える、長期間の輸送、飼い主がいじりすぎ、などがあります。

産卵を我慢しているうちに感染性卵管炎や卵管破裂をひきおこし、卵黄が腹腔内にもれだして卵黄性腹腔炎に進行すると、より重篤化します。同時に産卵が難しくなります。

亀の体内でつくられた卵が大きすぎたり変形していたり、卵の表面がざらざらだったり、卵の殻が柔らかかったりすると、うまく産卵できずに卵詰まりをひきおこすこともあります。

産卵までの間、亀の栄養状態が悪い場合にも産卵する体力がなくなって卵詰まりを引き起こします。

カルシウムが欠乏している場合、うまく産卵できずに卵詰まりを引き起こします。カルシウムは卵の殻をつくる材料となるだけでなく、体内でできあがった卵を体外に産卵するときにも必要なのです。

低カルシウム血症は代謝性骨疾患(MBD)をひきおこすので、代謝性骨疾患と診断されている亀は卵詰まりを引き起こす確率が高いです。

ホルモンのアンバランスや脱水や、ビタミンA欠乏が卵詰まりの原因となることもあります。

まれに骨折や外傷によって骨盤腔や卵の通り道が狭くなり、卵詰まりを引き起こすことがあります。

雌だけ飼育していても、無精卵によって卵詰まりが発生することも多いです。

亀の卵詰まりの予防

穴を掘るなどの産卵のサインがみられたら、亀の状態をよく観察してください

特に4月から7月頃の産卵しやすい時期には要注意です。穴を掘るようなしぐさがみられた場合には適切な産卵場所を用意してください。

また、元気がなくなったり、一日中寝ている、食欲がなくなるなどの症状がみられたら、できるだけ早く動物病院につれていってあげてください。

一度正常に産卵できたとしても、次の産卵では卵詰まりを起こすこともあるので注意が必要です。

周期的に産卵を繰り返しているような亀は、産卵をするたびに体内のカルシウムが欠乏していって、数回目の産卵になると重度の低カルシウム血症となることがあります。

カルシウムは卵の殻をつくる材料となるだけでなく、体内でできあがった卵を体外に産卵するときにも必要なのです。

産卵時に重度の低カルシウム血症があると、卵詰まりが高い確率で発生します。

毎年産卵する子や産卵数が多い子は、動物病院で予防的にカルシウム剤を投与してもらうのも一つの方法です。日常の食餌にカルシウムを添加するということも効果があります。特に草食性の亀はカルシウムが欠乏しやすいです。

しかし、完全な卵詰まりの予防法はなく、重要なこととして再度おさらいになりますが、卵詰まりを疑ったら、亀を診れる動物病院につれていってあげることです。

まとめ

獣医師と亀のイラスト

亀の卵詰まりは命に関わることも多く、卵詰まりの予防率を高めるためには
自然環境の再現が重要となります。

しかし、自然環境は100%は再現できないため、どうしても亀の卵詰まりは0にはできません。

亀の卵詰まりに関する知識をつけて、その上でできるだけのことをするためのお手伝いができれば幸いです。

そのために今回の内容を活かしてください。

亀の卵詰まりについて、いろんな情報を盛り込んだので困っている人がいたら、この記事を紹介してみてください。参考になると思います。

 

大阪堺の爬虫類 亀の病院
キキ動物病院
072-276-3555
大阪府堺市中区深井北町117-3

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