大阪堺市の亀の病院、キキ動物病院。ご予約、お問い合わせはこちらまで。

亀 の常在菌による 肺炎 の症状を 亀の病院 が解説

亀 の常在菌による肺炎の症状を 亀の病院 が解説:大阪 堺 のキキ動物病院

 

亀の病院 が 肺炎 について解説

こんにちは。大阪府堺市の亀の病院、キキ動物病院です。

亀さんを飼育していると、亀さんの肺炎ということを聞いたことがあるのではないでしょうか。肺炎ってなんだか漠然としていますよね。

今回はそんな、亀さんの肺炎について解説していきたいと思います。

 

亀 の肺炎は、進行すると重度の病状へ…

亀さんを普段診察していると、下部呼吸器感染症(肺炎)疑いの症例に出会うことも多いです。

亀さんの肺炎は確定診断をくだすことは難しく、多くの場合で検査の結果から、肺炎として仮診断して治療が開始されます。

 

亀 の 肺炎 の原因とは

亀さんの肺炎の多くは、免疫力低下によって生じる常在菌の感染(日和見感染)が原因で、無治療で経過すると次第に進行して重度の衰弱を伴います。

亀さんの肺炎の原因菌は大きく分けて3つあります。

①細菌
②ウイルス
③真菌

① 細菌

亀さんの下部呼吸器感染症(肺炎)の多くは、細菌感染が原因です。

リクガメではマイコプラズマ感染症がよく問題となります。リクガメのマイコプラズマ感染症では結膜炎や鼻汁、眼瞼浮腫(がんけんふしゅ。まぶたがむくむ)といった症状を示します。

リクガメのマイコプラズマ感染症では進行すると、感染が肺に届き、肺炎に進行します。

② ウイルス

亀さんの肺炎を引き起こすウイルスは、ヘルペスウイルスとラナウイルスのことが多いです。

ヘルペスウイルス感染症もラナウイルス感染症も似た症状をひきおこし、結膜炎や鼻炎などの上部呼吸器症状に加えて、気管や口腔に黄色い壊死性化膿性プラークを形成して肺炎を併発します。

ヘルペスウイルス感染症は、地中海リクガメ属に最もよくみられます。

地中海リクガメ属:ギリシャリクガメ・ヘルマンリクガメ・ヨツユビリクガメ(ホルスフィールドリクガメ)・フチゾリリクガメ(マルギナータリクガメ)など

ヘルペスウイルス感染症はギリシャリクガメの42.5%、ヘルマンリクガメの18.5%が陽性だったとのデータもあります。

③ 真菌

亀さんの真菌性肺炎の原因菌はほとんどが環境中に存在しているので、免疫力が低下したときに発症する日和見感染と考えられています。亀さんは他の爬虫類よりも真菌性肺炎にかかりやすいと言われています。

その他、まれな例として寄生虫性感染が原因の肺炎があります。

 

肺炎を引き起こしやすい状況

実際に肺炎を引き起こしやすい状況の例をあげます。

(1) 半水棲ガメ

半水棲ガメの幼体がヨコエビや刺身類を食べすぎて他の栄養素が足りなくなるパターンです。その結果、代謝性骨疾患(MBD)やビタミンA欠乏症(ハーダー氏腺炎)を引き起こし、免疫力が低下した状態になります。そのまま時間が経つと肺炎をこじらせてしまいます。

こちらのブログも参考にしてください。

カメのビタミンA欠乏症(ハーダー氏腺炎、眼が腫れてる、眼が開かない、食欲がない)

 

亀が、ビタミンA欠乏症で眼瞼が腫脹している様子。キキ動物病院に撮影。

この写真はビタミンA欠乏症で眼瞼が腫脹している様子です。

 

亀 甲羅の感染症 キキ動物病院撮影

 

この写真はビタミンA欠乏症と併発した(続発した)甲羅の感染症の様子です。この状態で治療開始が遅れると、肺炎に進行してしまいます。

このビタミンA欠乏症(ハーダー氏腺炎)と関連した注意点として、乾燥エビが入った亀のミックスフードがあります。
気を付けないと、いつのまにか乾燥エビばっかり食べて他の種類のフードは食べていないということがよく起こります。どうも亀さんは乾物が好きなようで、一部の獣医さんからは、乾物病と呼ばれていたりします。

(2)リクガメ

本来多湿な環境に暮らしているリクガメ(特にインドホシガメは要注意です)を、乾燥した環境で飼育して鼻炎を引き起こし、さらに進行して肺炎をこじらせてしまうパターンです。

かかり付けの獣医さんに治療と飼育アドバイスをしてもらってください。初期であれば、治療は成功することが多いです。

 

亀の肺炎治療の難易度が高いワケ

亀さんは生理学的性質から、低酸素の症状はでにくい反面、症状がでたときには、かなり進行した状態となります。

また、肺炎の治療を難しくする要因が5つあります。

① 亀の気道にある絨毛は、肺に入ったゴミなどを外に排出する機能が弱い
② 亀は横隔膜がないので、咳ができない(咳によって肺に入ったゴミなどを外に出せない)
③ 亀の膿は固く、肺から除去されにくい
④ 亀の心臓は循環機能が弱いので、低酸素状態が改善されにくい
⑤ 低酸素状態の亀の体内で発生している乳酸が、低酸素状態をさらに悪化させる

この5つの要素によって亀さんの肺炎は進行性かつ難治性であることが多いです。そのため、亀さんの肺炎の早期発見、早期治療は非常に大事です。

 

こんな症状が出たら、早めに亀の治療に精通した動物病院へ

亀さんの肺炎の症状としては、

・ 開口呼吸
・ 頸部の進展
・ 半水棲ガメの肺炎では水に入りたがらない
・ ホットスポットを避けて温度の低い場所にとどまる
(ホットスポットを避けることによって、体温の上昇をさけて酸素消費量を減らしている状態です)
・ 半水棲ガメの肺炎では進行すれば、水中で片側が下に傾きます

これらの症状が亀さんに見られたら、できるだけ早めに動物病院に連れて行ってあげてください。治療開始が遅れれば遅れるほど、治療成績が悪くなります。

 

まとめ:特に注意するポイント

今回は亀さんの肺炎についてまとめてみました。

亀さんは肺炎になるまでに治療するのと、肺炎になってから治療するのでは、治療効果が大きく変わります。亀さんが肺炎になるまえに治療を開始することが非常に重要になります。

特に注意するポイントとして

・ 半水棲ガメは眼瞼腫脹や甲羅の感染症
・ リクガメは鼻炎

これらが見られたら、元気食欲があっても、動物病院につれていってあげて治療を開始してください。そうすることで多くの場合肺炎に進行することを防ぐことができます。

今回の内容が全国の亀さんのお役に立てるならうれしいです。

キキ動物病院
072-276-3555
大阪府堺市中区深井北町117‐3

大阪堺の亀の病院、キキ動物病院による、亀の治療実績レポート、病気の解説記事はこちら。