うさぎの 歯ぎしり で病気の7パターンの特徴と対処法【うさぎの病院】
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うさぎ専門治療の病院による、歯ぎしりについての解説です
こんにちは。大阪府堺市のうさぎ病院、キキ動物病院です。
うさぎさんは遊んでいて興奮してきたときや、撫でてもらってうれしいときとかに歯ぎしりをすることがあります。こういったときは病気の心配もなく、むしろ健全ですが、うさぎさんは病気のときにも、歯ぎしりをすることがあります。
なんとなく、うさぎさんが苦しくて歯ぎしりをしているんじゃないかな、と思う場面に、遭遇したことのある飼い主さんも多いと思います。歯ぎしりをするときは、うさぎさんはどう感じているのでしょうか。うさぎさんの歯ぎしりをみたら、いつも病気を疑った方がいいのでしょうか。
今回はこういった疑問を解消するために、うさぎさんの歯ぎしりについてまとめてみました。
うさぎさんが 歯ぎしり する3つの理由
うさぎさんが歯ぎしりするときは大きく分けて3つの理由があります。
① 興奮(うれしいとき、遊んでいるとき、など)
② ストレス
③ 病気
① 興奮(うれしいときや遊んでいるときなど)
このパターンでうさぎさんが歯ぎしりをするときは、いつも一緒に暮らしている飼い主さんには、すぐに分かることが多いと思います。
このときの歯ぎしりは、心配する必要はありません。いっぱいうさぎさんとコミュニケーションをとってあげてください。
② ストレス
うさぎさんは、ストレスをうけても歯ぎしりをすることがあります。例として近所で大きな音がなっていて、それがストレスで歯ぎしりをするということや、以前はよく遊んでもらっていたのに最近遊んでもらっていない、というような状況は、うさぎさんはストレスを感じて歯ぎしりをすることがあります。
あまりにストレスが大きいと、胃腸うっ滞などの別の病気を引き起こすことがありますが、ちょっとしたストレスは様子をみることでも問題がないことがほとんどです。
③ 病気
うさぎさんの歯ぎしりで注意が必要なのは、病気で歯ぎしりをするパターンです。うさぎさんの歯ぎしりの見分け方は、消去法が分かりやすいと思います。
興奮してる場合はすぐに分かります。次にストレスがはっきりとわかる場合は、そのストレスが歯ぎしりの原因だとわかります。また、ストレスに対処できた場合は歯ぎしりがなくなることでも確認できます。
はっきりとわからないストレスで歯ぎしりをすることもありますが、この場合は病気で歯ぎしりをしている場合のことを考えて、動物病院につれていってあげてください。
ストレスで歯ぎしりをしている場合は、病気がみつからないことでストレスが原因だということが推測できます。
うさぎさんの 歯ぎしり 病気 7パターン
うさぎさんは多くの病気で歯ぎしりをしますが、特に遭遇することが多い7つの病気について、以下で解説していきます。
<うさぎさんが歯ぎしりをする病気>
① 不正咬合
② うっ滞(毛球症含む)
③ クロストリジウム性腸炎
④ 排尿障害
⑤ 脊椎骨折・脊椎亜脱臼
⑥ 分娩異常
⑦ ハエウジ症
① 不正咬合
うさぎさんが病気で歯ぎしりをしているときに、一番多いパターンが不正咬合で歯ぎしりというパターンです。うさぎさんの歯(特に臼歯)が伸びすぎていて、ほっぺたや舌に当たっていると痛みなどの不快感から歯ぎしりをします。
うさぎさんの不正咬合の症状としては、食欲不振、削痩(さくそう。痩せている)、歯ぎしり、よだれが多い、下顎脱毛、流涙、眼脂(目やに)、眼球突出、くしゃみ、鼻汁、顎周囲膿瘍、などがあります。
② うっ滞(毛球症含む)
うさぎさんは、消化管うっ滞(消化管運動機能低下)による腹部不快感によっても歯ぎしりをします。
この場合の歯ぎしりは、特に緊急度が高いことも多いです。うさぎさんはどのような原因であっても、食欲不振が24時間以上続けば、うっ滞や毛球症を引き起こします。換毛期や低繊維食の多給などは、うっ滞を引き起こしやすくします。
うさぎさんのうっ滞の症状は、食欲不振、軟便、下痢、異常便、糞便量減少、元気消失、歯ぎしり、呼吸促拍、などです。
以前のブログ『うさぎ のうっ滞(歯ぎしり、毛球症、食欲不振など)』(動画)に、うさぎさんのうっ滞についての記事がありますので、そちらも参考にしてください。
③ クロストリジウム性腸炎
意外と多いのが、うさぎさんのクロストリジウム性腸炎です。
うさぎさんは高炭水化物の食べ物は消化に時間がかかり、体内で大量のクロストリジウムが発生してしまいます。この大量に発生したクロストリジウムによって腸内に毒素がばらまかれてしまい、腹痛などの不快感が発生します。その不快感でうさぎさんは歯ぎしりをします。
うさぎさんにおやつをあげてはダメな主な理由が、このクロストリジウム性腸炎が発生するからです。
よくある原因は3つ。
1.低繊維質・高炭水化物食の多給
2.不衛生な飼育環境
3.うさぎに使用すべきでない抗生剤
症状としては主に下痢、軟便です。他の症状として、食欲不振、元気消失、歯ぎしり、などがあります。
④ 排尿障害
お腹の痛みなどの不快感から排尿を我慢してしまったり、尿路がふさがっていて排尿できない苦しみや、排尿時の苦しみから歯ぎしりをするパターンです。
この病類では、子宮疾患による血尿時に、もっともよく歯ぎしりがみられます。子宮疾患による血尿は、突然大量出血をおこすことがあり、緊急状態です。うさぎさんの血尿をみれば急いで動物病院につれていってあげてください。
歯ぎしりにつながる排尿障害の原因として
1.子宮疾患
2.膀胱結石・尿道結石
3.膀胱炎
4.トレポネーマ症
5.脊椎骨折・脊椎亜脱臼
6.陰嚢ヘルニア
7.肥満
8.ハエウジ症
9.直腸腫瘍
10.膀胱腫瘍
があります。
4.トレポネーマ症については以前のブログ『くしゃみ やスナッフルは歯の不正咬合が原因?』(動画)でも情報をまとめているので参考にしてください。
⑤ 脊椎骨折・脊椎亜脱臼
第6腰椎、第7腰椎の骨折が多く、後躯麻痺(こうくまひ。下半身麻痺)が
おこるので、疑診断は症状からすぐにできます。
ほとんどの場合で、食欲不振と元気消失を伴います。自力排尿ができなくなることも多く、尿もれ、腎不全、陰部湿性皮膚炎が続発します。高齢のうさぎさんや、削痩傾向のうさぎさんにおこりやすいです。なんらかのきっかけでパニックになって、椎骨骨折することが多いです。
特に怖いパターンとして、腎不全などで骨密度が低下しているうさぎさんは、日常生活の動作や、やさしく抱っこされただけで脊椎骨折を起こすことがあります。
痩せてきたと感じたら、元気食欲があっても、動物病院につれていってあげてください。
⑥ 分娩異常
うさぎさんが歯ぎしりをするパターンとして、特殊な状況ですが、うさぎさんは分娩異常により腹部の痛みから歯ぎしりをすることがあります。
分娩異常が起こりやすくなる要因
・肥満
・過去の骨盤骨折
・頻繁な繁殖
・4歳以上での出産
・不適切な出産環境
不適切な出産環境とは、
・飼い主さんの接触過剰
・巣箱などの準備不足
・雄を含めた他のうさぎさんと隔離していない
といった環境です。
⑦ ハエウジ症
うさぎさんのハエウジ症とは、文字通りハエの幼虫(ウジ)がうさぎさんに寄生する病気です。ウジが皮膚を破壊する痛みで、うさぎさんは歯ぎしりをします。
会陰部から臀部(でんぶ)背側にかけて、寄生することが多いです。健康なうさぎさんはハエウジ症にはかかりません。なんらかの他の病気(基礎疾患)があると、免疫力が低下してハエウジ症となることがあります。
うさぎさんのハエウジ症がおこりやすくなる要因
・飼育環境が不衛生
・肥満
・姿勢異常
・排尿障害
・湿性皮膚炎
まとめ:うさぎさんの歯ぎしりの見分け方
以上、うさぎさんの歯ぎしりについてでした。
うさぎさんの歯ぎしりをみれば、まず興奮しているかどうかをみてください。興奮していなければ、うさぎさんのストレスについて考えてみてください。
ストレスが思いあたらなければ、動物病院につれていってあげてください。動物病院で病気が診断されなければ、うさぎさんの歯ぎしりはストレスが原因の可能性が高いです。
①興奮しているかどうか
↓
②ストレスが思い当たるか
↓
③動物病院につれていってください
↓
④病気が診断されなければ、ストレスが原因(確定ではない)
うさぎさんの歯ぎしりは、日常でよく見ると思います。歯ぎしりに病気が隠れていないか、心配になることも多いと思います。そんなときは今回の内容を参考にしてください。
今回の記事が、全国のうさぎさんの生活に役立てればうれしいです。いつまでも、うさぎさんと健康で幸せな日々が続きますように。
キキ動物病院
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大阪府堺市中区深井北町117‐3