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呼吸が荒い (呼吸困難)うさぎは救急の病気?:熱中症、突然死、いびき、胸腺腫、心臓病などを解説【大阪府堺市のうさぎ病院-キキ動物病院】

 

 呼吸が荒い (呼吸困難)うさぎは救急の病気?:熱中症、突然死、いびき、胸腺腫、心臓病などを解説【大阪府堺市のうさぎ病院-キキ動物病院】

うさぎの専門治療を行う動物病院による、うさぎの呼吸が荒いときの11パターン解説記事です

こんにちは。大阪府堺市のうさぎ専門治療、キキ動物病院です。

今回のブログを読めば、うさぎさんの呼吸が荒いときはどんなパターンがあるのかがわかります。また、全体像がわかることによって、うさぎさんを病院に連れて行ってあげたときに、獣医師からの話がとてもわかりやすくなります。

とても長くなってしまいましたが、辞書的に何度も使える内容となっていると思うので、ぜひ活用してみてください。

 

病気で「呼吸困難」なのか、いびき、正常なのかの判断は、うさぎの治療に精通している獣医師に判断を!

うさぎさんが呼吸が荒いときには、全体的には救急の病気が多いですが、あまり気にする必要のない、加齢性のいびきのような状況もあります。

今回はうさぎさんの呼吸が荒いパターンを、11パターンに分けて解説します。

まず、最初に把握してほしいのが、うさぎさんが呼吸困難を起こしている場合は緊急状態で、一刻も早く酸素吸引、もしくは治療を必要としているということです。突然死を引き起こす病気が潜んでいる場合も多いです。

つまり、うさぎさんの呼吸困難を疑えば、一刻も早く動物病院につれていってあげることが重要になります。呼吸困難のうさぎさんの治療は担当獣医師の技量によって結果が大きく変わることも多く、うさぎさんの治療に精通している獣医師に診察してもらうことも非常に重要です。

先ほども書きましたが、うさぎさんの呼吸が荒い場合、すべてが呼吸困難というわけではありません。呼吸が荒いけど、病気じゃなく、正常な加齢現象ということもあるのですが、呼吸異常の判断によって生死が分かれるので、この判断はできるだけプロである獣医師にしてもらうことを強くおすすめします。

 

呼吸が荒い うさぎさんの11パターン

① 鼻炎および副鼻腔炎、スナッフル
② 下部呼吸器炎症
③ 消化管うっ滞(毛球症含む)
④ 肺腫瘍
⑤ 肺水腫
⑥ 胸腺腫
⑦ 心臓病、心疾患、心不全
⑧ 横隔膜ヘルニア
⑨ 中毒
⑩ 熱中症
⑪ いびき、その他

 

① 鼻炎および副鼻腔炎、スナッフル

うさぎさんの鼻炎や副鼻腔炎の症状として、くしゃみ、鼻汁があります。

一般的には食欲や元気はありますが、進行して重篤な場合には、食欲不振や元気消失、開口呼吸、呼吸困難が生じます。鼻炎や副鼻腔炎には不正咬合が関係していることが非常に多いです。

うさぎさんの鼻炎や副鼻腔炎の要因として

・低繊維食の多給(不正咬合)
・不衛生な飼育環境

があります。

以前のブログ、『くしゃみ やスナッフルは歯の不正咬合が原因?』に鼻炎、副鼻腔炎、スナッフルについて解説しているので、そちらも併せて参考にすると理解が深まります。

くしゃみ やスナッフルは歯の不正咬合が原因?【大阪 堺 の うさぎ 病院】

 

② 下部呼吸器炎症(肺炎、気管支炎など)

鼻炎や副鼻腔炎は、上部呼吸器炎症となります。上記のとおり、上部呼吸器炎症の症状は一般的には元気食欲が維持されています。

しかし、うさぎさんの下部呼吸器炎症の症状は逆に、食欲不振や元気消失、呼吸困難がみられることが一般的です。

他にも開口呼吸、くしゃみ、鼻汁などがみられます。

例外として、鎮静化している肺膿瘍では元気食欲があり、呼吸も正常で一見健康にみえることが多いです。うさぎさんの肺膿瘍は症状がでることがあまりないですが、無治療だと寿命が短縮してしまうことが多いので、治療は継続した方が無難です。

下部呼吸器炎症(肺炎、気管支炎など)の発症要因として、不正咬合、慢性鼻炎、副鼻腔炎のいずれかのことがほとんどです。特に、不正咬合は、うさぎさんの下部呼吸器炎症のほとんどすべてのケースで、発症要因となります。

③ 消化管うっ滞(毛球症含む)

うさぎさんの消化管うっ滞の症状は、食欲不振、軟便、下痢、異常便、糞便量減少、元気消失、歯ぎしり、呼吸促拍、などです。この場合の呼吸が荒いという症状は、うっ滞から回復すれば消失します。

うさぎさんのうっ滞の要因ははっきりしないことも多いですが、よく遭遇する要因は

・ストレス
・繊維質の少ない餌やおやつ
・異物
・不正咬合

不正咬合を患っていると、うさぎさんは口に入った食べ物を細かくすりつぶせないので、飲み込んだ餌の欠片が大きくなって、被毛に絡んで毛球が形成されやすくなります。

以前のブログ『うさぎ のうっ滞(歯ぎしり、毛球症、食欲不振など)』に、うさぎさんのうっ滞についての記事がありますので、そちらも参考にしてください。

うさぎ のうっ滞(歯ぎしり、毛球症、食欲不振など)【大阪堺のうさぎ病院】

 

④ 肺腫瘍

うさぎさんの肺腫瘍の症状としては、呼吸困難、開口呼吸、食欲不振、元気消失、運動不耐性、胸水などがあります。

(ほかの場所から肺に転移した結果の肺腫瘍ではなく)原発の肺腫瘍は、非常にまれです。基本的には乳腺腫瘍や子宮腺癌や肉腫からの転移です。ときどきリンパ腫からの肺転移がみられます。

乳腺腫瘍や子宮腺癌などの原発巣が発覚してから、約1年後に転移が確認されることが多いです。ときには原発巣を発見してから、1週間後にいきなり肺転移が現れることもあります。

肺腫瘍はレントゲン検査で確認できますが、肺膿瘍と肺腫瘍はレントゲン写真上で区別ができません。ただ、ほとんどのケースで、転移腫瘍は多発性(多数発生している)で、肺膿瘍は単一の塊として見られます。

レントゲン検査で、肺に多発性の転移腫瘍を認めたときは、乳腺や子宮などに原発巣がないか確認することは非常に重要です。
(↑こちらは臨床獣医師に向けたメッセージです。)

 

⑤ 肺水腫

うさぎさんの肺水腫の症状としては、呼吸困難、開口呼吸、失神、食欲不振、元気消失、運動不耐性などがあります。

うさぎさんの肺水腫の発症要因として、

・心不全
・低タンパク血症
・感電(電気コードを噛む)

があります。

低タンパク血症は、

・重度の慢性食欲不振
・重度の腎不全
・重度の肝不全
・重度の消化器疾患

で生じます。

実際には鼻炎を併発していない肺炎と、肺水腫をレントゲン検査などで鑑別するのは難しく、疑診したうえでの治療となることも多いです。
(↑こちらは臨床獣医師に向けたメッセージです。)

 

⑥ 胸腺腫

うさぎさんの胸腺腫の症状としては、静脈圧上昇による両眼球突出、第三眼瞼突出、眼圧正常、呼吸困難、剥離性皮膚炎があります。

うさぎさん以外の哺乳類では、多くの種類で成長すれば胸腺が退縮しますが、うさぎさんは正常でも胸腺が退縮しません。

正常の胸腺よりもさらに大きくなったのが胸腺腫です。胸腺が大きくなると、前大静脈を圧迫し、前大静脈がうっ滞します。その結果、第三眼瞼(瞬膜)や眼球突出(目が飛び出ている)がおこります。

これを前大静脈症候群といいますが、眼球突出が(片目ではなく)両目同時におこるのが特徴です。

眼窩膿瘍などでも眼球突出が起こりますが、この場合は片目の眼球が突出することが多いです。(前大静脈症候群は胸腔内リンパ腫でも生じますが、専門的になりすぎるので、今回は省略します。)

胸腺腫でおこる剥離性皮膚炎とは、全身の脱毛部に鱗屑(りんせつ。かさぶた)ができ、ひび割れが皮膚にできる症状で、胸腺腫に特有の症状としてあらわれることがあります。

胸腺腫の中には、剥離性皮膚炎だけしか症状があらわれないタイプの胸腺腫もあり、その場合には眼球突出や呼吸困難はなく、一見元気食欲があるようにみえます。この場合、皮膚病として治療しているけど、ぜんぜん良くならないといった状況に現れてきます。ときおり転院症例でみられるので、注意が必要です。
(↑こちらは臨床獣医師に向けたメッセージです。)

また、呼吸困難などの胸腺腫の症状がまったくみられなくても、胸腺腫を患っているうさぎさんも多いので、定期健診で胸部のレントゲン検査を確認することは非常に重要です。

胸腺腫の治療は専門的内容になるので、ポイントが多すぎてここでは書ききれませんが、胸腺腫の治療は年々進化しており、以前に比べてかなり生存期間などが伸びました。

キキ動物病院では、うさぎ専門治療を行う動物病院の中でも、こういった西洋医療と東洋医療を併用する治療を得意としております。)

胸腺腫は、内科治療の内容によって治療効果が大きく変わります。具体的には寿命が大きく変わります。ですので、できるだけうさぎの治療に精通した動物病院で治療を受けることをおすすめします。

キキ動物病院撮影、うさぎの胸腺腫のレントゲン写真。

こちらは、胸腺腫治療直前のレントゲン写真です。胸部に大きな白い塊があることがわかります。

胸腺腫治療直前のレントゲン写真。キキ動物病院撮影。

胸腺腫治療開始から、一週間後のレントゲン写真です。胸部の大きな白い塊が縮小して肺のスペースが拡大したことがわかります。

 

⑦ 心臓病、心疾患、心不全

うさぎさんの心臓病の症状としては、呼吸困難、失神、食欲不振、元気消失、運動不耐性があります。

うさぎさんは、心臓病でも咳をすることはほとんどありません。重度の心不全で、胸水、肺水腫、腹水が現れることがあります。

うさぎさんの心臓病では、重度に進行して、胸水や肺水腫が発生してはじめて、腹式呼吸や努力呼吸などの呼吸困難を発現することが多く、ほぼ無症状のまま突然死することも決して珍しくありません

うさぎさんの心臓病のときの突然死は、心室期外収縮が引き金となることが多いです。心室期外収縮は高齢になると多発します。
(↑臨床獣医師に向けたメッセージです。)

ちなみに、うさぎさんの心臓病における呼吸困難は、ストレスで発言することが多く、ストレスがあまりかかっていない状況だと、心臓病を患っていても呼吸状態は正常なことも多いです。うさぎさんの心雑音を、聴診器で聴くことができることはあまり多くありません。

うさぎさんの心臓病では、多くは僧帽弁閉鎖不全(MR)ですが、拡張型心筋症も好発します。肥大型心筋症もときおり見られます。また、先天性心疾患として心室中隔欠損をもつうさぎさんも意外と多いですが、症状をだして治療が必要となるうさぎさんはあまりいません。

心室中隔欠損以外の心臓病では、治療上重要なこととして、症状が出ていなくても治療することで、健康寿命が延長するということがあります。

うさぎさんの心臓病では、症状がでてから治療を開始するよりも、症状が出ていないうちから治療を開始することで治療効果が大きくなります。たとえ無治療で症状が落ち着いていても、心臓病の診断が下れば治療を続けることが重要です。

特に5歳以上になるとうさぎさんも心臓病を患うことが多くなるので、定期健診で早期発見を心がけることも重要です。心臓病はうさぎさんの突然死の原因のうちで、よくみられるものの一つです。

 

⑧ 横隔膜ヘルニア

うさぎさんの横隔膜ヘルニアの症状は、呼吸困難、開口呼吸、食欲不振、元気消失、削痩などがあります。

横隔膜ヘルニアのときには、削痩(痩せている)している場合と削痩していない場合があります。

外傷(落下事故など)が原因となることがほとんどです。外傷性横隔膜ヘルニアは急死するケースも多く、要注意です。

まれに加齢や胃のうっ滞による横隔膜ヘルニアは、症状が出ずに慢性経過をたどることがあります。

先天性の横隔膜ヘルニアの多くは幼少期に死亡しており、発見されないことが多いと推測されています。

 

⑨ 中毒

うさぎさんが摂取した物質によって症状はかわりますが、食欲不振、元気消失、軟便、下痢、黒色便(メレナ)などが中毒症状としてよくみられます。除草剤中毒では呼吸困難を引き起こします。

一般的に、うさぎさんに中毒をおこす植物は、苦みがあり嗜好性が悪いので、中毒をおこすまでの量を摂取することは多くはないです。

ただし、現状でどの植物がどのくらいの量でうさぎさんに中毒症状を示すのかは
、よくわかっていないことが多いので、実際の診断は難しいことが多いです。

うさぎさんの散歩は、いろんな理由から積極的には勧めないですが、散歩に連れて行くなら、基本的には散歩中に植物を食べさせることの安全は、未知だと思ってください。

たとえ中毒性がない植物であっても、排ガスや除草剤を吸収している雑草を摂取することもあり、健康に悪いことが多いと考えられます。

植物以外によくみられる中毒としては、鉛中毒があります。鳥類の鉛中毒と要点は同じです。重石(おもし)として鉛がつけられたカーテンや、鉛を含むペンキが塗られた木やおもちゃをかじることで鉛中毒を発症します。

胃に大きな鉛片が残っていると、レントゲン検査でみつかります。この場合は慢性的な鉛中毒を疑って継続治療を受けてください。レントゲン検査をした獣医さんが、鉛中毒の可能性に気づいていないことも多いので、鉛中毒の可能性を主治医に相談してもいいかもしれません。

 

⑩ 熱中症

うさぎさんの熱中症の症状として、初期には多飲多尿があります。進行すると食欲不振、元気消失、軟便、下痢、異常便などが生じます。さらに進行して重症化すると、呼吸困難、昏睡、発作、ショックなどを表すようになります。

<発症しやすくなる要因>
・肥満
・衰弱
・高齢
・外気温が28℃以上
・屋外飼育

注意が必要なことは、少し熱いなというくらいでは、健康なうさぎさんは苦しそうな呼吸をすることはありません。そんなに熱くないのに、苦しそうな呼吸をする場合は、心臓病や腎不全や尿路結石などの他の病気が隠れていることがあります。動物病院で精密検査を受けてください。

高齢になると、体温調節能力が落ちてくるので、熱中症にかかりやすくなります。一つの目安として、3歳以上になると熱中症にかかりやすく、治りにくくなります。環境設定の一つの指標として夏場でも室温24℃以下、湿度60%以下を24時間維持することを心がけてください。

夏場の軽度の軟便や下痢が、実は熱中症の初期症状ということもよく経験します。熱中症は必ずぐったりとするわけではありません。意外と見落とされることが多いので注意してください。
(↑臨床獣医師にむけてのメッセージです。)

 

⑪いびき、 その他

気管虚脱や軟口蓋過長によって、一時的に呼吸が荒くなって、すぐに呼吸が落ち着くということがあります。

気管虚脱は、加齢で気管軟骨が変性して生じることがあります。また、同じく加齢で軟口蓋が伸びてくる(軟口蓋過長)ことがあります。

気管虚脱や軟口蓋過長は、肥満によっても生じてきます。気管虚脱や軟口蓋過長をもっているうさぎさんは、いびきをかくことも多いです。起きているときも、ブーブー鼻を鳴らすような呼吸音を出すこともあります。

この気管虚脱や軟口蓋過長は、低酸素状態が続いて健康寿命が短くなることが考えられますが、治療が必要かどうかは、はっきりと分かっていません。

ほか、呼吸困難を引き起こすまれな例として、重度の動脈硬化、気胸、巨大食道症などがあります。

 

呼吸が荒い うさぎさんを見たら、早めに動物病院へ

まとめです。
呼吸困難は命にかかわることが多い緊急状態です。

はやめにうさぎさんを動物病院につれていってあげてください。

このとき、移動中のストレスは極力さけるように。

動物病院では不正咬合、胸腺腫、心臓病はポイントとなりやすいので、特に注意して診てもらってください。

今回は長くなってしまいましたが、辞書的に活用できる内容だと思います。

うさぎさんの呼吸が荒いときは、今回の内容を参考に動物病院で話をきくと、獣医師の話が理解しやすくなると思います。ぜひ活用してみてください。

 

大阪堺市うさぎ専門治療のキキ動物病院による、うさぎの治療実績レポート、病気の解説記事はこちら。

 

うさぎの病院

キキ動物病院
072‐276‐3555
大阪府堺市中区深井北町117‐3

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