フトアゴヒゲトカゲ 亀 ヒョウモントカゲモドキ カメレオン イグアナ カエルなどの甲羅が凸凹・爪が伸びている・動かない・便秘・食欲不振~代謝性骨疾患の症状と対処法【エキゾチックアニマル専門治療の病院】
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エキゾチックアニマルの専門治療の病院が、カルシウム欠乏の症状と対処法について解説
こんにちは。エキゾチックアニマル専門治療の病院、キキ動物病院です。
爬虫類や両生類を飼っていると、栄養が大事ということはわかっていても、具体的に栄養が欠乏すると、どういった症状を引き起こすのか、といったことは意外と知られていないです。
(カエルが代謝性骨疾患を引き起こすことも意外としられていないのではないでしょうか)
栄養性の問題のうち、非常に頻繁にみられるカルシウム欠乏、代謝性骨疾患について詳しく解説します。
今回の記事を読むと、栄養性の問題に気付くのが早くなり、救命率があがります。
フトアゴヒゲトカゲ ,ヒョウモントカゲモドキ,亀,カメレオン,イグアナ,カエルなどの代謝性骨疾患によく罹患する
爬虫類の多くの種類で代謝性骨疾患は見られます。フトアゴヒゲトカゲ、ヒョウモントカゲモドキ、亀、カメレオン、イグアナなどの代謝性骨疾患は動物病院でもよく診察します。
爬虫類以外にもカエルなどの両生類にも代謝性骨疾患はみられます。
代謝性骨疾患の症状
低カルシウム血症による症状と、骨の変形(骨が柔らかくなる)による症状に分かれます。
低カルシウム血症による症状
食欲不振
活動性の低下
痙攣
総排泄腔脱
便秘
低カルシウム血症の症状は、代謝性骨疾患が重度になったときにあらわれます。
痙攣には全身性と指だけの痙攣に分かれます。指だけの痙攣はピアノを弾いているような部分的な痙攣です。
総排泄腔脱ではお尻から内臓がでているような状態になります。
カメレオンでは握力が弱まってよく木から落ちるようになります。また、尾を指などに巻き付ける力も弱くなります。
このような低カルシウム血症の症状が現れた場合は、眼を閉じてじっとしていることが多くなります。
低カルシウム血症の症状が見られた場合は、入院管理が必要になることが多いです。
骨の変形による症状
背骨が曲がる
病的骨折
骨が太くなる
発育不良
甲羅が変形
ソフトシェル(甲羅が柔らかい)
骨の変形は初期症状として、下顎骨が変形することが多いです。
カエルなどでも代謝性骨疾患のときに下顎骨の変形はよくみられます。背骨が曲がったり、姿勢異常もカエルではよくみられます。
(この写真のカエルは、左後肢が変形していて、歩き方がおかしくなっています。)
亀ではくちばしが変形して、受け口になることもあります。甲羅が変形してピラミッド状に凸凹になることもあります。
ヒョウモントカゲモドキなどでは、上腕骨が変形して歩き方がおかしくなることも多いです。
イグアナなどでは下顎が腫れたり、大腿骨が腫れることもあります。骨の変形によって卵詰まりを引き起こすことも多いです。
海外の爬虫類医学の専門書には、骨の変形(代謝性骨疾患)を引き起こしている爬虫類は、高確率で卵詰まりを引き起こすので、予防的に卵管摘出術を実施した方が良いとされています。
水棲の亀では代謝性骨疾患を引き起こしていても、甲羅の変形はあまりみられないですが、甲羅を押してみると柔らかくなっていることが多いです。
脊椎骨の変形や病的骨折が起こると、下半身の麻痺がおこります。
そうすると排便や排尿が自力でできなくなったり、後肢や尾の麻痺が見られるようになります。
下顎骨が軟化、変形することで口が開き気味になったり、餌をくわえることができなくなります。
こうなると、餌の前に欲しそうに近づいてきても餌を食べなかったり、餌をくわえても咬めずに落としてしまうといった症状もみられるようになります。
代謝性骨疾患が進行すると、身体を持ち上げることができなくなります。歩く時も体をもちあげて歩くのではなく、匍匐(ほふく)前進のような歩きかたになります。
亀は甲羅を引きずって歩くようになります。
卵詰まりに関しては、『亀 の卵詰まり 症状と対処法や手術(産卵失敗,動かない,食欲不振,食べない,後ろ足を引きずる』(動画)
亀 の卵詰まり 症状と対処法や手術(産卵失敗,動かない,食欲不振,食べない,後ろ足を引きずる【大阪堺 爬虫類 亀の病院】
『ヒョウモントカゲモドキ (レオパ)の卵詰まりの対処法』(動画)
にも詳しく解説しているので参考にしてください。
代謝性骨疾患の治療法
痙攣や病的骨折などの重度な症状が見られた場合は、入院管理が必要になります。
重度でない場合は通院治療で改善することが多いです。
治療期間は1~6ヵ月と長期にわたることがほとんどです。
少し改善して食欲が戻ったからと言って治療を中断してしまうと、多くの場合、再び食欲が落ちて治療がより難しくなります。
代謝性骨疾患の注意点
・雌は予防的卵管摘出手術が強く推薦される
・治療期間は長期間(1~6ヵ月間)
・治療を短期間で中断すると症状が再発
・一度変形した骨や麻痺は基本的には元には戻らない
代謝性骨疾患で特に注意が必要なことは 卵詰まりを高確率で発生させることです。 いったん代謝性骨疾患がおこると たとえ代謝性骨疾患を治療しても卵詰まりがおこったときに 外科手術でしか助からないです。 だけど、それでも救命率が低くなってしまうことが 隠れた問題なのです。
だから代謝性骨疾患を患ったことのある患者は予防的卵管摘出手術が強く推薦されるということです。
代謝性骨疾患の原因
主に
・カルシウム摂取不足
・ビタミンD3不足
です。
ビタミンD3は紫外線照射によって、体内で合成されるようになります。
しかし、種類によっては紫外線がどれだけ必要か、よくわかっていない種類もいます。また、産卵を繰り返している雌はカルシウムが欠乏して代謝性骨疾患になります。
他にも下痢が続いていたり、腎不全や肝不全によってカルシウムが欠乏します
代謝性骨疾患の予防
カルシウム添加
特に成長期や産卵が続いているとカルシウム欠乏が生じやすいです。
適切な紫外線照射
運動
ケージを狭くしないということです。
便秘に注意
カルシウム添加(ダスティング)の際に注意が必要なことがあります。それは治療を焦ってカルシウムを大量に投与してしまうことです。カルシウムを大量に摂取すると、便秘を引き起こします。
骨は固まるまでに時間がかかります。焦らずに治療していきましょう。疑わしければ早めに動物病院に連れて行ってあげてください。
まとめ:爬虫類 カエル エキゾチックアニマルの代謝性骨疾患
まとめです。
エキゾチックアニマルの飼育上、問題となりやすいのがカルシウム欠乏です。常にカルシウムと紫外線については意識してあげてください。
成長期や産卵を繰り返している場合は特に注意して観察してください。少しでも疑わしい場合は動物病院につれていってあげてください。
周囲にエキゾチックアニマルの飼育について困っている人がいれば、この記事を紹介してみてください。参考になると思います。
エキゾチックアニマル専門治療の病院
キキ動物病院
072‐276‐3555
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